流体に100℃と600℃のヒーター。流量が同じなら、出口温度は6倍になるのか!?【Q&A】後編 | 熱のことなら-【熱闘ブログ】

2013/11/25

流体に100℃と600℃のヒーター。流量が同じなら、出口温度は6倍になるのか!?【Q&A】後編

このエントリーをはてなブックマークに追加

前回の前編に続き、Q&A、後編です!

今回のクエスションはこのようなものです。

Question: 水が流れる配管にヒーターを取り付けた時、流量が等しければ、
A:ヒーターの温度100℃のとき
B:ヒーターの温度600℃のとき
温度が6倍なので、水の上昇幅は6倍になるのではないですか?
KAWAI:弊社の試験データを確認してみましょう。
水を温める方法のヒントがそこにありますよ!

早速確認していきましょう!

では、まず、以前もご紹介した、弊社シリコンチューブヒーターを使用し、流体を加熱した実験データがあるので、見ていただきましょう。
各流量ごとに、流体のin温度、Out温度を記すことで加熱効果が確認できます。

こちらのヒーターの表面温度はおよそ100℃でした。

60mmlと、流量が比較的少ないケースでは、100℃のヒーターでもOUT時水温70℃と、かなり熱を伝えられています。
もう少し流量が多い際でも、6倍となると、沸点を超えてしまうので、およそ100℃まで、チューブ内で瞬間で上げられれば、実験は成功!と言えそうですね。

配管の外径の局面に対応できるのは面状のヒーターです。
その面状ヒーターの中で、最も一般的なシリコンラバーヒーターの耐熱温度はおよそ200℃。
今回は特殊な方法を用いて、600℃のヒーターを配管に巻きつけてみました。


6倍なるか!?

上記結果に対し、良い結果が出るよう、
  1. ヒーター温度を600℃に変更。(ヒーター種類やチューブ材も変更)
  2. チューブ径をφ6⇒φ3へ、パイプ1mm当たりの水の量を減らしました。
  3. チューブ径をφ6⇒φ3へ、パイプ1mm当たりの水の量を減らしました。
その結果がこちら。

かなり効果が上がっているようです!
しかしながら、流量が多くなるにつれ、先ほどの試験結果である100℃時昇温幅に+10℃くらいと、物足りない結果となりました。
これは、熱の伝導スピードよりも流れるスピードが勝り、熱が伝わりきらなかったということです。
したがって、ある程度の流量を超える場合、ヒーター温度だけではなく、熱の伝え方に工夫が必要になります。

まとめ!

  1. ヒーターの温度を倍にしても、流体の昇温幅は倍にはならない。しかし、以下のことが言える。
  2. 流量が約100ml/min未満の場合
     ⇒ヒーターの温度を倍以上にすることで、流体の昇温幅はおよそ倍程度になる
  3. 流量が約100ml/min以上の場合
     ⇒ヒーターの温度を倍以上にしても、熱を伝えきれない
流体の加熱は難しい。弊社にぜひご相談ください♪

このエントリーをはてなブックマークに追加